美容鍼灸の全て

美容鍼灸の第一人者 北川毅が
美容鍼灸の全てを徹底解説します

Presented by
一般社団法人健康美容鍼灸協会

こんな方、是非ご覧ください

  • 美容鍼灸について詳しく知りたいお客様
  • 美容鍼灸がどうして効くのか知りたいお客様
  • 効果の高い美容鍼灸を安心して受けたいお客様
  • 美容鍼灸とエステの違いを知りたいお客様
  • 美容鍼灸を導入したい専門家(鍼灸師)の方
  • 美容鍼灸がどうして効くのか知りたいお客様

北川毅プロフィール

鍼灸師
一般社団法人 健康美容鍼灸協会 会長
一般社団法人 日本中医学会 評議員
チバソム・インターナショナル・ヘルス・リゾート(タイ) ゲストコンサルタント
YOJO SPA オーナー
 

美容を目的とした鍼灸の研究と実践を積み重ね、従来の刺針法の常識を覆す二指推鍼法という刺針法、および、顔面部に対して多数の針を使用することを特徴とする養顔鍼法という美顔鍼の手法を創案。国内外の鍼灸と美容の分野に美容鍼灸を提唱し、その概念を定着させた美容鍼灸の世界的な第一人者。国内外で600人以上の専門家を育て上げた実績と世界各地に顧客を持ち、その技法は、現在、Japanese Beauty Shinkyu として、ヨーロッパ、北米、中南米、アジアなどの20カ国を超える国で実践され、世界において、美容鍼灸の主流として認知されている。

東京港区の YOJO SPA にて鍼灸の臨床に携わるかたわら、アジア最高峰のヘルスリゾートである「チバソム・インターナショナル・ヘルス・リゾート」(タイ)においてもゲストコンサルタントとして定期的に日本の鍼灸治療と美容鍼灸を行う。

世界のKitagawaとして、東洋医学、鍼灸、美容、スパに関する教育、執筆、翻訳、研究まで幅広く活動中。

Chapter 1 鍼灸とは

美容鍼灸について解説していく前に、前提として、はじめに鍼灸ついて、その概要を解説をしておきたいと思います。は、いずれも特定の症状や疾患の治療を目的として古代の中国に発祥し、日本でも広く行われてきた伝統的な治療行為です。元来は鍼術灸術といいますが、一般的には、と呼ばれています。また、鍼と灸はそれぞれ独立した治療法ですが、ともに古代の中国で発展した伝統的な治療法であり、体表から身体に対して刺激を加える治療法であるということ、主として経穴(ツボ)と呼ばれる特有の治療点が用いられるということなど、歴史、理論、手法などにおける共通点が多いことから、しばしばひとくくりにして鍼灸と呼ばれています。

鍼灸をはじめとする日本の伝統療法は、西洋の現代医学とは思想も方法も異なっています。現代において、世界中の医学の標準とされている西洋の現代医学では、病気の治療は、特定の病気が発病した場合に、主として化学薬物の投与や外科的手術などの方法によって行われます。これに対して、鍼灸をはじめとする日本の伝統療法の最も大きな特徴は、薬(化学薬物)やメスを用いることなく様々な病気や症状を治療する「自然療法」であるということであり、また、「治療」よりも「予防」を重んじることです。

鍼灸が、薬(化学薬物)やメスに依存することなく治療を行うことができるのは、施術によって引き起こされる有効な生体反応、すなわち、人間の体に備わっている「自己治癒力」という自然の力を利用していることが理由です。同時に、鍼灸は、その治癒力を有効に利用することで、健康状態を損なった心や体を治癒に導いていく手段であるということです。現代医学における薬(化学薬物)の投与や外科的手術には、「副作用」「失敗」「医療過誤」などの様々な大きな「リスク」が存在します。また、増加を続ける膨大な医療費も大きな問題となっています。一方、鍼灸の大きな利点のひとつは、「副作用」や「リスク」がほとんど皆無であり、高額な費用もかからないということです。

このような伝統療法には、得意分野と限界(不適応)があり、現代医学によって治療できる全ての症状や疾患を伝統療法で治療できるということではありません。しかし、他方では、現代医学にも得意分野と限界が存在するため、治療よりも予防を重視する考え方や副作用を伴うことのない鍼灸は、現代社会において、その利点が再認識されています。そして、鍼灸は、西洋の現代医学を補完・代替する医療(CAM:complementary and alternative medicine)として、日本国内ばかりでなく、世界各地でまずます強く求められるようになっています。

Chapter 2 鍼灸の定義と概念

・ 鍼の定義

鍼灸師の養成施設で教科書として使用されている「はりきゅう理論」(社団法人 東洋療法学校協会)において、鍼術は下記のように定義されています。

鍼の定義(社団法人 東洋療法学校協会)

鍼術とは、一定の方式に従い、鍼をもって身体表面の一定部位に、接触または穿刺刺入し、生体に一定の機械的刺激を与え、それによって起こる効果的な生体反応を利用し、生活機能の変調を矯正し、保健および疾病の予防または治療に広く応用する施術である。
鍼の手法上の最大の特徴は、「針」という特有の治療器具が用いられるということと、その治療器具を体表から体内に「侵入」させるという極めて特異な方法が用 いられることです。身体に対して体表からアプローチを行なう治療法には、鍼ばかりでなく、「理学療法」「あん摩」「マッサージ」「指圧」などの方法もあり ますが、「徒手」を用いたこれらの治療法では、身体の深部を直接的に刺激することはできません。一方、鍼治療では、「針」が体表から体内に侵入するため、 身体の深部に対して直接的に作用を及ぼすことができます。身体を切り開くこともせずに、身体の中まで侵入して行なう鍼治療の手法は、まさに「離れ業」とも 言うべきもので、世界中を探してみても、他にはない極めてユニークな治療法であると言えるでしょう。

 
「はり」の漢字表記には、「鍼」と 「針」の2通りの漢字が使われています。鍼灸治療の分野において、「はり」という言葉は「施術行為」としての「はり」と「治療器具」としての「はり」の2 通りの意味で使われます。現代の中国では「鍼」の字は使用されていないため、中国では、いずれの場合にも「針」の字が使用されています。一方、日本の場合 には「施術行為」を表す場合には、「鍼」の字が使われるケースが多く、「道具」としての「はり」を表す場合には「針」の字を使用するのが一般的であるとさ れています。そのため、日本において「道具」としての「はり」を漢字で表記する場合には、「鍼灸針」(しんきゅうしん)というように2つの漢字を用いて表 記されます。また、日本と中国では、鍼治療の治療方法や使用する針に一定の違いがあります。そのため、日本式の鍼を実践している専門家は、施術行為に対し ても道具に対しても「鍼」の字を使用する傾向があり、反対に、中国式の鍼を実践している専門家は、施術行為に対しても道具に対しても「針」の字を使用する 傾向があります。

・ 灸の定義

鍼灸師の養成施設で教科書として使用されている「はりきゅう理論」(社団法人 東洋療法学校協会)において、灸術は下記のように定義されています。

灸の定義(社団法人 東洋療法学校協会)

灸術とは、一定の方式に従い、艾(もぐさ)を燃焼させ、またはそれに代わる物質を用いて、身体の表面の一定部位に温熱的刺激を与え、それによって起こる効果的な生体反応を利用し、生活機能の変調を矯正し、保健および疾病の予防または治療に広く応用する施術である。

こ のように、灸の特徴は、施術において「艾」という独特のもの(またはそれに代わる物質)を燃焼させて用いるということです。したがって、灸の施術に使われ ものは、原則として「艾」ということになりますが、実際には、艾そのものばかりではなく、艾が様々に加工されたものが使用される場合もあります。そして、 その場合に、灸の施術に使用することを目的とした「艾の加工品」(またはそれに代わる物質の加工品)は、一般に「艾」ではなく「灸」と呼ばれます。「灸」 という言葉は、「施術」としての「灸」と施術に使用される「艾の加工品」(またはそれに代わる物質の加工品)としての「灸」の2通りの意味を持っているの です。

灸は、鍼と同じく古代の中国で発祥し、日本に伝来したものですが、灸を用いた治療は、中国よりもむしろ日本で盛んに行なわれるように なりました。灸の手法における特徴は、艾というものを燃焼させることで、人間の皮膚と組織に温熱的刺激を与えるということです。温熱刺激を利用した治療法 は、灸以外にも世界中に様々な方法のものが存在しますが、植物を燃焼させて利用するという灸の手法は、他には例のない特徴的な手法であると言えるでしょ う。

灸の施術にはさらに大きな特徴があります。それは、灸の施術には「艾」という特別なものが用いられるということです。艾は、主とし て ヨモギの葉の裏側に付いている「毛茸」(もうじょう)と「腺毛」(せんもう)という部分を材料として作られています。中国の古代の人々は、経験の蓄積に よって、このような特定の植物の特定の部分(ヨモギの葉の毛茸と腺毛)が、人間の皮膚と組織に対して適度で有効な温熱刺激を与えることに適することを知っ ていたのでしょう。

Chapter 3 世界のShinkyu

2010年頃から、海外から私に仕事の依頼が来るようになりました。仕事の内容は、鍼灸治療と美容鍼灸に関する技術指導、および、依頼人に対する鍼灸治療と美容鍼灸の施術です。大きな出来事としては、タイのホアヒンにある「チバソム・インターナショナル・ヘルス・リゾート(Chiva Som International Health Resort)」からゲストセラピストとして招聘されたことです。チバソム・インターナショナル・ヘルス・リゾート(以下 チバソム)は、アジア最高峰のヘルスリゾートであり、世界中から訪れる、健康指向の高い富裕層のゲストが滞在し、健康と美の増進を目的とした様々な施術とプログラムが提供されています。

チバソムは、タイの元首相ブーンチュ・ロジャナスティン氏が提起し、タイのビジネス界との提携によって、2600万USドルもの費用を投じて開発され、アジア地域のヘルスリゾートとしては、世界で最も人気が高く、最も有名です。例えば、イギリスの「コンデ・ナスト・トラベラー」誌の読者投票においては、10年間にわたって世界のトップ3に選ばれ、2006年には、アメリカの「トラベル + レジャー雑誌」の読者投票で「ワールド・ベスト・デスティネーション・スパ」に選ばれています。

チバソムには、世界中から健康と美のスペシャリストが招聘され、200種類以上の施術とプログラムが提供されています。私は、2010年にゲスト・セラピストとして招聘され、以来、年に数回、2週間程度滞在し、期間限定で日本の鍼灸治療(Japanese Shinkyu)と美容鍼灸(Beauty Shinkyu)の施術を提供してきました。チバソムのようなヘルスリゾートは「健康と美の増進施設」ですから、私が招聘された大きな理由は、美容鍼灸という美容に関する特徴的な施術を行っていたからでしょう。チバソムには、例えば、一国の国王や女王、世界的企業の社長や役員、ハリウッドスターやスポーツ選手などの著名人なども普通に滞在しており、提供されるサービスは、常に「一流」であることが求められます。また、ゲストセラピストである私の場合には、期間限定で、長くても2週間程度しか施術を提供することができないため、常に「短期決戦」「真剣勝負」となります。

チバソムで仕事をしたことで、結果として、私は、日本の鍼灸の「凄さ」を知ることになりました。現代社会では、世界中の多くの人々が「ストレス」を抱えています。また、頭脳労働、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの電子機器の普及により、頚、肩、背中のこり、緊張性頭痛、眼精疲労、不眠などの症状に悩まされていますが、これらの症状に対して、西洋の現代医学には、決め手となる治療法がありません。また、チバソムのゲストは、基本的には健康志向の高い富裕層ですから、既に様々な治療や施術を受けていますが、鍼灸を受けたことはないというゲストは少なくありません。ありとあらゆる治療や施術を受けても悩みの症状が改善されない中、チバソムで日本の鍼灸を受けて感激するゲストを、私は何人も見てきました。

「腕が上がらなくてゴルフができない」と訴えるスイスの大企業の社長を2回の治療で治したことがありました。何年にもわたって足首に痛みがあり、「ロンドンとニューヨークとパリで最高の病院の院長に診てもらったが治らない」というご夫人を2回(2回目はフォローなので実際には1回)の治療で治したこともありました。このような経験を重ねるうちに、チバソムにおいて、私の治療と私自身の評判は大いに上がりました。そして、私がチバソムに招聘されて、今年(2019年)で10年目を迎えましたが、日本の鍼灸治療と美容鍼灸は、特に注目と人気の高いサービスの一つとなり、日本人の鍼灸師が常駐するまでになりました。

チバソムで仕事をする中で私が実感したことは、「鍼って凄い!」ということです。チバソムでは、世界中を飛び回ることなく、世界中の「トップ」「リーダー」と呼ばれる特別な人々にも施術を提供することができます。世界最高峰のヘルスリゾートを舞台として大成功を納めたことで、日本の鍼灸と自身の技術が「世界に通用する」という圧倒的な「自信」を持つことができました。また、美容鍼灸がきっかけとなって、私はチバソムに招聘されましたが、「治療」と「美容」のどちらにおいても、着実に「結果」を出すことが非常に重要であり、「鍼灸」は最大の力を発揮できるということを、実感として、あらためて学ぶことができました。

Chapter 4 Shinkyuの特徴と優位性

日本鍼灸とその特徴に対する理解を深めていただくために、私が諸外国での活動経験を通じて得た評価に基づき、日本鍼灸の特徴と利点に関する私見を述べておきたいと思います。内容については、あくまでも、私の経験に基づく私見であり、不足や誤りなどがあれば、何なりとご指摘いただければ幸いです。私がまとめた諸外国における日本鍼灸に対する主な評価は下記の通りです。

・ 丁寧で繊細

・ 日本と日本人に対する信頼性

・ 細い鍼灸針

・ 衛生的

・ 洗練性

・ 丁寧で繊細

日 本鍼灸について、諸 外国のお客様や生徒による最も高い評価は、圧倒的に「丁寧」で「繊細」であるということです。鍼灸の施術では、他人の体に対して、針を刺したり、灸には火 を使うため、丁寧で繊細ということは、とても重要な要素となります。特に、美容鍼灸では、お顔に対して針を刺すことが多くなるため、特に丁寧で繊細な技術 が求められます。そして、丁寧で繊細であるという理由から、昨今では、日本鍼灸の技術を学びたがる専門家が世界各地で増えています。

・ 日本と日本人に対する信頼性


海 外に長く滞在すると実感することですが、”Japanese” ”made in Japan” ”from Japan”など、”Japan” ”Japanese”とつくだけで、世界中のどこへ行っても、その製品やサービスは「安心」で「安全」であり、同時に「一流」であると認知されていま す。”Japan”と ”Japanese”は、安定した「信頼のブランド」として認められているのです。ひとつの「国」として、このような事例は、世界中でも他にはありませ ん。そして、このような日本と日本人の実績と信頼性を背景として、チバソムの事例にも見られるように、日本鍼灸に対する注目や評価も高まり始めています。

・ 細い鍼灸針

日本鍼灸(Japanese Shinkyu)と中国針灸(Chinese acupuncture)を比較した場合に、その大きな違いのひとつは、臨床で一般的に使用される「針の太さ」が異なることです。中国では直径0.30㎜未満の針はおおよそ使用されていないことに対して、日本では、直径0.12㎜〜直径0.26㎜の太さの針が一般的に使用されています。そのため、細い針を使用するということも、日本鍼灸のひとつの特徴であると言えます。日本鍼灸(Japanese Shinkyu)で細い針が使用されている理由のひとつは、日本の針の製造技術が、比較的に早い時期から細い針の製造を可能としていたことが考えられます。そして、もうひとつの理由は、「管鍼法」と呼ばれる日本の刺針法が、細い針の刺針を可能としたことであると考えられます。

・ 衛生的

日 本人の印象を表す言葉として、「清潔」(clean)ということがよく言われます。また、日本を訪れた外国人の中には、トイレの清潔さに驚く人が少なくあ りません。感染症予防の視点から、「清潔」という概念は、鍼灸の施術では基本的で重要な要素となります。そして、日本人の保健所の指導や日本人の専門家の 現場では、「清潔」ということが徹底されています。その典型的な例として、日本の現場では、使い捨ての針を使用することが主流となっています。使い捨ての 針は 日本鍼灸の衛生的という特徴を象徴するものですが、他にも、様々な器具、タオル、施術着などの全てにおいて、清潔ということについて細かく配慮されてお り、非常に衛生的であると評価されています。

 ・ 洗練性

日 本の伝統的な文化、宗教、知識、技術などの多くは、日本や日本人がゼロから生み出したものではなく、中国から伝来し、長い時間の中で、上記のような日本人 の特性を通じて変化を遂げたものです。このような事実は、日本人が「質」や「完成度」を高めることに優れ、物事を洗練することを得意することを示していま す。日本人には、ゼロから1を生む能力には乏しく不得手な傾向がありますが、反対に、1を100どころか1,000にまで高める能力を有しているというこ とでしょう。

鍼灸も、日本や日本人がゼロから生み出したものではなく、古代の中国に発祥した針灸が源流です。そして、日本と日本人は、長 い 時間をかけて、様々な独創的な手法や道具を生み出し、また、中国の針灸を洗練して、上記のような様々な独自性と洗練性を特徴とする「日本鍼灸」を作り上げ ました。全世界的において、現時点では、鍼灸の主流は中国式の針灸となっています。日本鍼灸を実践する専門家は、今のところはごく少数派であり、「量」の 面では、日本の鍼灸に優位性はありません。一方、上記のような独自性と洗練性から、日本の鍼灸は、「質」の面において優れた特徴と信頼性を持つ「洗練され た鍼灸」として、世界各地で認められつつあります。

Chapter 5 美容鍼灸の定義と概念

鍼灸は、特定の症状や疾患の治療を目的として古代の中国に発祥し、今日まで広く行われてきた伝統的な「治療行為」です。ところが、近年、その鍼灸が「美容」という新しい目的で利用されるようになり、「美容鍼灸」と呼ばれる新しい形態の鍼灸が、利用者からも専門家からも注目を集めるようになりました。美容とは、容姿を美しくすることを目的として、顔や体形、肌などを整えることです。したがって、専ら「治療」を目的として行われてきた従来の「鍼灸治療」に対して、「美容鍼灸」とは、容姿を美しくすることを目的として行われる鍼灸、あるいは鍼灸を美容目的に用いることです。 例えば、肩こりや腰痛を改善したいという目的によって、鍼灸が利用された場合には、その鍼灸は「鍼灸治療」として位置付けられますが、お顔のたるみや小じわを改善したいという美容目的で利用され場合には「美容鍼灸」として位置付けられるということです。

美容には、美顔、痩身、バストアップ、ヒップアップ、美脚などの分野があります。そして、鍼灸もそれらを目的として利用されていますが、現状では、特に「美顔」を目的とした鍼灸が、世界各地で高い注目を集めており、主に、顔面部のたるみ、小皺、くま、くすみ、浮腫などの皮膚の老化、代謝不良、血行不良に起因する症状に対して積極的に利用されています。また、鍼は、美顔を目的として積極的に行われるようになりましたが、灸は、鍼のように一般的に美顔を目的としては行われていないため、鍼による施術だけが美容目的に行われる場合には、「美容鍼」「美顔鍼」と呼ばれる場合もあります。

美容を目的とした鍼灸は、この10年ほどの期間に急激な規模と速度で普及しました。そのため、美容鍼灸と呼ばれる鍼灸の分野は、まだ新しい未成熟な分野の鍼灸であり、現時点では、美容鍼灸の「定義」というものもおおよそ存在しません。日本国内に存在する美容鍼灸の定義としては、一般社団法人健康美容鍼灸協 会(http://www.hhbsa.org)が策定した下記のような定義が存在します。

美容鍼灸の定義(一般社団法人健康美容鍼灸協会)

美容を一義的な目的として行われる鍼灸、あるいは鍼灸による美容
この定義は、美容鍼灸と一般的な鍼灸治療との違いは鍼灸の「利用目的」であることを明示しています。つまり、従来の「鍼灸治療」が専ら「治療」を目的として行われてきたことに対して、「美容鍼灸」は「美容」を目的として行われる鍼灸であるということです。

ま た、鍼灸の施術では、例えば、肩こりや生理痛の治療を行う過程で、利用者の肌の状態が改善されていく場合があり、反対に、美容鍼灸を行う過程で、利用者の 体調が改善されていく場合もあります。この定義において、美容が「一義的な目的」とされているのは、このように、鍼灸は常に治療効果と美容効果を同時に発 揮する場合があることが理由です。

Chapter 6 美容鍼灸の目的

美容鍼灸の目的

人体の自然美の維持、増進、回復をはかること
人体の自然美とは、「自然な状態における人体の美しさ」と いう意味です。そして、美容鍼灸の目的は「人体の自然美」を獲得することです。本来は治療行為であった鍼灸が、美容を目的として用いられるようになったの は、美容鍼灸が目標とする人体の「自然美」が「健康」と深く関係していることが大きな理由でしょう。例えば、「お顔のお肌がきれい」という言葉は、自然な 状態における肌の美しさを評価した言葉ですが、同時に、それは「顔面部の局所の皮膚の健康状態が良好である」ということを意味しており、健康状態も評価し ています。つまり、人体の「自然美」と「健康」とは、おおよそ同じことを意味しているのです。


美容には様々な手法と専門分野が存在し、容 姿を美しくするための行為は、いずれも美容と呼ばれています。例えば、「装飾美容」と呼ばれる手法は、人体に化粧やパーマネントなどの装飾を施すことで容 姿を美しく見せる手法であり、「美容医療」の分野では、整形手術のような手法が用いられる場合があります。そして、このような手法によって獲得された外見 美は、「装飾美」や「整形美」と呼ばれるもので、同じく人体の美であっても、「健康」とはおおよそ無関係です。

これに対して、上記のよう に、人体の「自然美」は、健康を基礎として成立するものであり、「美」と「健康」はおおよそ同じことを意味しています。「自然美」という概念では、「健や かな体は美しい」「健康は美、美は健康」ということです。したがって、人体の自然美の維持、増進、回復をはかることは、すなわち、健康の維持、増進、回復 をはかることでもあります。そして、このような認識に基づいて実践することで、鍼灸は、健康の維持、増進、回復ばかりでなく、人間の自然美の維持、増進、 回復に役立てることができるのです。美容鍼灸の本質は、健康の維持、増進、回復をはかることによって、人体の自然美の維持、増進、回復をはかることです。 同時に、美容鍼灸の最大の利点と特徴は、美と健康を同時に獲得できることであると言えるでしょう。

Chapter 7 美容鍼灸と鍼灸エステ

上記のように、美容目的の鍼灸は、この10年間で急速に普及しました。そして、同時に、その手法は多様化しています。昨今では、エステティックの施術に鍼灸を組み合わせた手法、フランス式、アメリカ式など、様々な形態の美容鍼灸が行われるようになりました。しかし、これらの手法の全てが、無条件に 「美容鍼灸」と呼べるかどうかは疑問です。例えば、エステティックの施術で行われるような、お顔のクレンジングや美顔マッサージを念入りに行い、申し訳程度にお顔に針を刺すというような手法は、果たして「美容鍼灸」と呼べるでしょうか。私たち鍼灸師は「鍼を持ったエステティシャン」ではありません。

美容鍼灸は「鍼灸」の一分野であり、鍼灸とは、あくまでも「鍼」と「灸」による施術であることから、「鍼」と「灸」のみによる施術として成立しなければ、論理的には、その施術を「美容鍼灸」と呼ぶことは誤りです。鍼灸の本質から逸脱したものも含めて、全てを「美容鍼灸」として認めてしまったり、呼んでしまった場合には、お客様方に対して誤解を与えてしまうばかりでなく、美容鍼灸そのものが、 鍼灸の一分野としての本質を失ってしまう結果となるでしょう。

昨今では、キャリ アアップを目指して、鍼灸の専門学校に入学し、鍼灸に関する知識と技術を学び、鍼灸師の国家資格を取得して業務に携わる美容の専門家も増えています。そのため、エステティックと鍼灸を組み合わせた手法も、新しい美容の一分野として認めることはできるでしょう。また、私自身にも、それを否定する意図はありません。しかし、このような手法は「鍼灸エステ」とでも標榜すべきでものであり、鍼灸および美容鍼灸の健全な普及と発展を考慮した場合には、鍼灸の一分野としての「美容鍼灸」とは明確に区別することが不可欠です。

Chapter 8 美容鍼灸のリスク

美容鍼灸をお受けになられるお客様の「リスク」についてご説明させていただきます。美容鍼灸の最も大きな利点のひとつは、薬(化学薬物)やメスを用いることなく、「リスクがほとんどない」ということです。想定されるリスクとしては、「疼痛」と「皮下出血」が考えられます。逆に言えば、美容鍼灸の施術におけるリスクは「疼痛」と「皮下出血」くらいしかなく、極めて低リスクで安全な施術であるということです。

美容鍼灸のリスク

・ 疼痛(痛み)

・ 皮下出血

以前に、美容外科医の大御所の先生に「美容鍼灸の施術を行う上でのリスクは何ですか?」と尋ねられたことがありました。私は「やはり、皮下出血によって青あざができる場合があることでしょうか。それから、痛がられるお客様もいらっしゃいます。」とお答えしました。すると、「そんなものリスクのうちに入りません。青あざは必ず消えるでしょう。それから、美容に関する施術はほとんどが痛いものです。」と言われました。

確かに、私は20年以上にわたって美容鍼灸に取り組んできましたし、国内外において、既に600人以上の専門家に技術指導を行ってきましたが、青あざが消えずに残ってしまったという事例は、一例も報告されていません。また、例えば、脱毛にしてもアートメークにしても、美容を目的とした施術には痛みを伴うものが多いというのは事実です。そして、このような視点で見ると、美容鍼灸の施術は、極めて低リスクで安全であることが大きな利点であると言えるのです。

・ 疼痛(痛み)について

美容鍼灸の施術を初めて受けるお客様からは、「痛いですか?」という「疼痛」(痛み)に関する質問をよく受けます。しかし、実際には、全く同じ針を使用して、全く同じ施術をしたとしても、痛みの感じ方は、お客様によって一様ではなく、「全然、大丈夫」とおっしゃる方もいらっしゃれば、「けっこう痛いわねぇ」とおっしゃる方もいらっしゃいます。その理由は、疼痛とは受ける側の「主観」に基づく感覚であり、「痛い」か「痛くない」かということは、それぞれのお客様の感じ方次第で決まるものだからです。したがって、「痛いですか?」というお客様の質問に対して、私たちがその答を述べることはできません。

一方、細い針を使用したり、針を浅く刺すなどして、お客様に対して「痛くない」と表明している場合もあるようですが、上記のような理由から、針を刺すという行為を行う以上、それに伴う疼痛の感覚を回避することは不可能であり、施術を行う側が、無痛を主張することは間違いです。また、「太い針は痛い」というイメージもあるようですが、針の太さと感じる痛みの強さには、必ずしも相関性はないというのが、臨床経験に基づく私自身の見解です。

このように、美容鍼灸の施術はある程度の痛みを伴う可能性があることから、痛みに強くない方にとっては、美容鍼灸は受けることが難しい施術ということになるかも知れません。また、美容鍼灸の施術を初めて受けられるお客様にとっては、未知のものに対する恐怖心が痛みの感じ方を増強させてしまう傾向があるため、回を重ねるうちに、痛みに馴れてこられる場合もあります。

私が会長を務める一般社団法人健康美容鍼灸協会では、施術を行う鍼灸師の「技術力」の向上と使用する針の「品質」によって、施術に伴う疼痛の軽減に務めています。具体的には、毎月1度程度の頻度で、実技セミナーを開講して技術指導を行っていますが、このセミナーの受講者は、技術力をさらに向上させることを目的として、何度でも無料で再受講ができるようにしています。そして、施術に使用する針につきましても、日本製あるいは日本国内で設計された最高品質の針を使用することを推奨しています。

・ 皮下出血について

鍼の施術では、針が皮膚、毛細血管、筋肉などの組織に刺入されるため、常に皮下出血やわずかの出血を伴う可能性があり、また、皮下出血が生じることで、青あざができてしまう場合があります。しかし、針を刺すことによって皮下出血や出血が生じるのは、施術の過誤によるものではなく、生理的にごく自然な現象です。針の製造技術の進歩等により、現在では、鍼の施術で青あざができる可能性は大幅に低減されています。それでも、それは常に「予測不能」な事態であり、生体の正常な反応に類するものであることから、起こり得る可能性を完全に防止することはできません。前述の通り、現状では、美容鍼灸は主に美顔を目的として利用されていることから、お顔に対して積極的に針を刺すことが、美容鍼灸の施術の大きな特徴です。そのため、お客様方におかれましては、針を刺すことによって、お顔に青あざができてしまう可能性があるということを、予めご承知いただくことが必要となります。

針を刺すことによって生じる青あざは、決して不可逆的な現象ではなく、どんなに目立つ青あざが生じた場合にも、通常は1週間から数週間で自然に退少し、痕を残すことはありませんので、「必ず消える」ということをご承知ください。また、女性の場合には、ファンデーションやコンシーラなどの化粧品を使用することで、青あざは一定程度隠すことができます。私は、これまでに国内外で600人以上の専門家に技術指導を行ってきましたが、青あざが消えなかったという例は、一例も報告されていませんのでご安心ください。しかしながら、ごく稀な事例ではありますが、かなり目立つ青あざができて、完全に消えるまでに1ヶ月程度を要した事例もあります。私自身の臨床経験では、3年に1度程度の極めて少ない頻度で、このような事例を経験していますが、皆無ということではありませんので、例えば、ご自身やご友人の結婚式の直前、何らかの理由で人前に出られるような機会があるような場合には、その3週間程度以前から、施術を一旦休止することをお勧めしています。

美容鍼灸の施術によって生じる青あざの実際の状況は、実例の写真を見ていただけば一目瞭然です。私自身の経験では、お顔で最も頻繁に皮下出血が生じる部位は眼の周囲であり、目の周囲の皮膚が他の部分と比較して薄いことが理由であると考えられます。顔面部での皮下出血の実際の様子を写真でご覧ください。この事例は、40代の女性で、目頭にある「睛明」(せいめい)というツボに針を刺したことによって生じた皮下出血の模様です。刺針当日の様子と時間経過による変化をご確認ください。

 

皮下出血と日数経過の事例

施術当日、施術直後に撮影
2009年6月7日撮影

施術当日、ファンデーションを使用した化粧後に撮影
2009年6月7日撮影
施術3日後
2009年6月10日撮影
施術7日後
2009年6月14日撮影
施術10日後
2009年6月17日撮影
施術10日後
2009年6月17日撮影

Chapter 9 美容鍼灸の沿革

美容を目的とした鍼灸は、これまでも、世界各地で行われていましたが、今のようには普及していませんでした。そればかりか、医療行為としての長い伝統があることから、鍼灸を美容目的に用いることが蔑視される傾向もあり、あまり積極的に行なわれてきませんでした。また、現在でも、一部の専門家の間には、鍼灸を美容に応用することや治療家が美容の施術に携わることに対する抵抗感が根強く残っているというのが実状です。そのため、ほんの十数年前まで、鍼灸 の世界には「美容鍼灸」という言葉は、実は存在していなかったばかりでなく、「Google」などのインターネットの検索エンジンで「美容」と「鍼灸」という2つのキーワードをかけ合わせて検索しても、得られる情報 は10件にも満たないような状況でした。美容目的の鍼灸が一般的に行われるようになったのは、ごく最近のことだということです。

日本では、2006年から2008年にかけて私が執筆した専門誌の記事や書籍がきっかけとなり、美容を目的とした鍼灸が急激に普及しました。まず、私の働きかけもあり、『医道の日本』という鍼灸の専門誌で『医道の日本臨時増刊 No.11 美容と鍼灸』という臨時増刊号が企画され、2006年8月に出版されました。それは、美容と鍼灸を題材とした日本初の出版物であり、美容目的の鍼灸に対して否定的な風潮があった当時としては、極めて画期的な出来事でした。私はその序文に相当する「Chapter1 なぜ、鍼灸で美容なの?」を執筆し、美容を目的とした鍼灸について、広く伝える好機を得ることができました。

 『医道の日本臨時増刊 No.11 美容と鍼灸』が刊行されると、それまで蔑視あるいはタブー視されていた美容目的の鍼灸は、一転して大きな注目を集める結果となり、鍼灸の歴史 上に「美容鍼灸」という言葉が誕生しました。さらに、その後に刊行された 拙書『健康で美しくなる美容鍼灸』(BABジャパン)は8,000部を売り上げ、日本の鍼灸界には美容鍼灸ブームとも呼べる現象が起きました。現在 (2017年2月現在)では、インターネットの検索エンジンで、「美容」と「鍼灸」という2 つのキーワードをかけ合わせて検索すると、「Yshoo! JAPAN」では約155万件、「Google」では143万件もの情報がヒットするまでに普及しています。

医道の日本臨時増刊 No.11 美容と鍼灸
医道の日本社
2006年8月

健康で美しくなる美容鍼灸
北川毅 著
BABジャパン
2008年5月
健康で美しくなる美容鍼灸
北川毅 著
BABジャパン
2008年5月

Chapter 10 美容鍼灸の現状と問題点

美容鍼灸が急激な速度で普及したことで、様々な不測の問題が起きるようにもなりました。そこで、Chapter 10 では、普及し始めてから十数年を経過した美容鍼灸の現状について、問題点を含めて述べておきたいと思います。批判的な内容を含む可能性もありますので、内容について不快に感じられる方におかれましては、Chapter 10は読み飛ばしていただければ幸いです。 前述の通り、美容鍼灸という分野の鍼灸が行われるようになったのは、鍼灸の長い歴史の中ではごく最近のことであり、この分野に関しては、ベテランの鍼灸師たちにとっても未知の部分が多く、先人や指導者と呼べる専門家は存在していませんでした。私自身にも「師」と呼べる指導者はいなかったため、私は「美容外科」「美容皮膚科」などの現代医学の「美容医療」を専門とする医師の先生方にご指導をいただきながら、美容医療に関する知識と理論を学び、自身の専門分野である東洋医学の知識と鍼灸の技術と融合させて、「美容鍼灸」という新しい分野の鍼灸を作り上げました。

一方、私が提唱した美容鍼灸が注目を集めるようになると、十分な知識、技術、経験を身に付けることなく、唐突にこの分野の鍼灸を行う鍼灸師たちが後を絶たなくなりました。最も大きな問題は、このような鍼灸師たちは、美容医療に関する知識を学ぶことをせず、安易に鍼灸とエステティックを組み合わせた施術を作り出し、それを「美容鍼灸」と呼ぶようになったことでしょう。たとえ美容の分野であっても、鍼灸の一分野はそのように浅薄でインスタントなものであってはなりませんし、「美容鍼灸」と標榜するからには、それは「鍼灸」の一分野であり、あくまでも「鍼」と「灸」による施術として成立しなければ、「美容鍼灸」と呼ぶことはできません。したがいまして、鍼灸とエステティックを組み合わせた施術は、「鍼灸エステ」とでも呼ぶべきものであり、「美容鍼灸」とは明確に区別すべきであるというのが、北川毅と一般社団法人健康美容鍼灸協会の見解です。

また、美容鍼灸が未成熟な分野であったことから、美容鍼灸の「パイオニア」や「ベテラン」を自称する鍼灸師も少なからず見受けられるようになりました。しかし、日本において美容目的の鍼灸が広く行われるようになったのは、上記のように、2006年の『医道の日本臨時増刊 No.11 美容と鍼灸』の出版以降のことであり、ほとんどが自作自演に過ぎないというのが実情です。正しい知識、一定の技術力と経験を持たずに、美容鍼灸の施術を行った場合には、不満足な結果や皮下出血等によるトラブルを引き起こし、お客様方に不利益をもたらす可能性も危惧されます。そのため、この分野の鍼灸が、健全な普及と発展を遂げていくためには、私たちには、お客様方に対して「満足」「安全」「安心」の施術をご提供し続けていくことが必要欠です。そして、そのためには、必ずこの分野に関する正しい知識と一定の技術力を身に付けることが、必要不可欠な条件となります。

鍼灸の分野に限ったことではないと思いますが、実直で勤勉な専門家は、とかく広告や宣伝を不得 手とする傾向があります。反対に、全てがそうであるとは言えませんが、広告や宣伝に長けている専門家は、専門家としての知識、技術、経験を積み上げることよりも、広告や宣伝に注力する傾向があります。そのため、お客様方におかれましては、ネット上等の巧みな広告や宣伝に惑わされることなく、信頼できる専門家を見つけることが、美容鍼灸に限らず、効果の高い鍼灸の施術を安心してお受けいただくための要点になると言えるでしょう。 美容鍼灸は、 新しいタイプの鍼灸師も生み出してしまいました。美容鍼灸が行われる以前には、鍼灸師の道を志す動機は、主に3つしかありませんでした。ひとつは、「人の役に立ちたい」ということです。そして、もうひとつは、少数派であるとは思いますが、「白衣を着て“先生”と呼ばれたい」「親の家業を継がなければならない」ということでしょう。鍼灸の施術は、一人が一人に付きっきりとなって行われるため、極めて「労働集約型」の業務であり、また、施術の単価も高額ではないため、元来、どちらかと言えば「儲からない仕事」です。 一方、美容外科やエステティック等の美容に関する施術の費用は、鍼灸治療に比べるとはるかに高額です。そのため、美容鍼灸という美容目的の鍼灸を提唱して、美容の分野に「参入」したことで、私が提唱した美容鍼灸は、結果として、ひとつの新しい「ビジネスモデル」にもなってしまいました。従来は、お金のために鍼灸師を志す人はいませんでした。「ビジネス」や「お金儲け」が悪いことであるとは言えません。しかし、昨今では、「お金儲け」という第四の動機で鍼灸師を志す輩が現れたことで、鍼灸と鍼灸師のイメージを低俗化させてしまったという事実は否めません。

このような現状から、「一般社団法人健康美容鍼灸協会」は、美容鍼灸の健 全な普及と発展を目的として、「健康美容鍼灸」(Holistic Health Beauty Shinkyu / HHBS)という新しい形態の鍼灸の考え方と実践方法を提唱し、その普及、教育活動に取り組んでいます。「健康美容鍼灸」の詳細につきましては、 「Chapter 11 健康美容鍼灸(HHBS)について」をご覧ください。

 

Chapter 11 健康美容鍼灸(HHBS)について

・ 健康、治療、美容の3本柱

私が、美容を目的とした鍼灸に着手したことには、様々な理由と経緯がありますが、最も大きな理由は、1997年に、麻布十番に鍼灸院を開業して間もない頃に、健康美容鍼灸という新しい形態の鍼灸の実践方法を発想したことです。健康、治療、美容は、一連で一体をなしており、切り離して考えることはできません。例えば、健康状態が維持されていれば、治療は必要がありませんが、健康状態が損なわれてしまった場合には、何らかの治療行為が必要となります。一方、東洋医学では、人間の自然美は健康を基礎として成立するものであると考えられており、例えば、円形性脱毛症などのような容姿に悪影響を与える疾患の治療は、健康状態の回復よりも、容姿の回復、すなわち美容を目的として行われます。

健康美容鍼灸とは、このような、健康、治療、美容の関係に着目し、従来からの利用目的であった「治療」「健康維持・増進」に「美容」という新しい利用目的を加えて、健康、治療、美容を3本柱とした新しい形態の鍼灸の考え方と実践方法です。開業当時、妻が美顔や痩身などの美容の施術を専門に行っていたことから、私は美容という分野に関心を持つようになりました。そして、健康と美の関係性に着目して、健康美容鍼灸という着想を得ました。「美しくなりたい」という願望は、女性の本質であることから、美容という分野には莫大な需要がありますが、この着想を得た20年前には、美容は、鍼灸の利用方法としては全く手つかずの分野でした。そこで、鍼灸を美容目的に応用することができれば、健康、治療、美容を3本柱とし、3者を一連で一体のものとして実践する新しい鍼灸の実践方法を確立することができ、鍼灸の可能性を無限に広げることができるであろうと考えました。

Chapter 12 美容鍼灸と健康美容鍼灸

ところが、上記のように、鍼灸の分野には、美容という要素が存在していなかったため、健康美容鍼灸構想を実現させるためには、美容鍼灸という新しい分野の鍼灸を確立することが必要でした。そこで、開業以来、私は、美容外科医、妻や同業者などの協力を得ながら、研究と実践を積み重ねました。そして、美容に関する様々な施術の中でも、鍼は、特に「美顔」を目的とした施術として有効であり、数多くの針を使用することで、より高い効果を得ることができるという結論に帰結しました。美顔を目的とした鍼を行うためには、顔面部に対して、より合理的で、円滑で、安全に針を刺すことが必要となります。そこで、私は、従来の一般的な刺針法(針の刺し方)とは大きく異なる二指推鍼法(にしすいしんほう)という独自の刺針法と顔面部に対して多数の針を使用する養顔鍼法(ようがんしんぽう)という美顔鍼の手法を創案し、「美容鍼灸」という新しい分野の鍼灸を確立しました。

美容鍼灸は、このような経緯によって私が創案し、約10年の時間をかけて確立した新しい分野の鍼灸です。そして、このような美容鍼灸が予想以上に高い注目を集めてしまったことで、私は美容鍼灸のパイオニアとして位置付けられてしまいましたが、美容鍼灸は、私が 行ってきた鍼灸に関する様々な取り組みのひとつであり、私が美容や美容鍼灸の専門家であるということではありません。また、私たちの本来のご提案は、「美容を専門とした鍼灸をやりましょう」ということではなく、鍼灸の可能性を広げて、「美容もやりましょう」ということです。「美容にも携わる」、「美容」と いう利用目的を加えることで、鍼灸は、より多くのお客様方のより幅広い需要にお応えすることができ、上記のような健康美容鍼灸という構想を実現することもできるのです。美容鍼灸は、健康美容鍼灸における必要不可欠な要素ではありますが、それだけに終止するものではありません。「健康美容鍼灸構想」の一環として、美容鍼灸という新しい分野の鍼灸を作り上げる過程では、前述したような、様々な誤解や負の副産物も生み出してしまいましたが、私たち一般社団法人健康美容鍼灸協会の本来のお客様方に対するご提案は、美容に終止する「美容鍼灸」ではなく、美容鍼灸をその一環とした「健康美容鍼灸」というコンセプトの鍼灸とそのご利用方法です。

美 容という新しい鍼灸の利用目的を提唱して10年余りが経過し、美容鍼灸という言葉も完全に定着しました。そして、そのことで、構想から20年を経て、今、 ようやく健康、治療、美容の3本の柱を揃えることができ、健康美容鍼灸をご提唱する基盤ができました。私たち、一般社団法人健康美容鍼灸協会にとりまして は、むしろ、ここからが本番です。今後は、これらを鍼灸の3本柱に据え、適応疾患の治療から、健康の維持・増進、美容までの施術を、お客 様のご要望に応じて、臨機応変かつ総合的にご提供する鍼灸の新しい実践方法を、健康美容鍼灸(Holistic Health Beauty Shinkyu / HHBS)として、日本から世界向けてご提唱していきたいと考えています。

Chapter 13 美容鍼灸と健康維持

治療行為とは異なり、美容という利用目的にはエンドポイントがありません。そのため、美容目的の鍼灸には、実は、もうひとつの大きな利点があります。例えば、腰痛に対する鍼灸治療で、2回の治療で改善できたとしましょう。実際に、鍼灸は腰痛にはとても効果的で、私自身も1〜2回の鍼灸治療で、ほとんどの腰痛を治しています。すると、この患者さんと私たちとの関係は2回の治療で終ってしまうことになります。一方、美容にはそのようなエンドポイントがないことから、お客様方との間に、定期的、継続的な関係を築くことができます。そして、美容を目的として、お客様方が定期的に来院されることで、本来、治療家である私たちは、美容ばかりでなく、お客様方の健康の維持・増進と疾病予防に貢献させていただくことができます。つまり、美容鍼灸 を実践することで、私たちは、同時に、お客様方の健康の維持・増進と疾病予防という、本来の重要な使命を果たさせていただくこともできるのです。

古来より、おおよそ病というものは、ひと度発病してしまうと健康状態を回復させることが難しいことから、東洋医学では、治未病という考え方が重視されて きました。治未病とは「未だ病まざるを治す」という意味で、ある病が本格的に発病する以前の段階で、治療してしまうということです。中国古代の著名な 医学書である『難経』には「上工は未病を治し、中工は已病を治す」という記載があります。病気を治すのは凡庸な医者で、優れた医者は病気が発病する前に治 す(すなわち、発病を予防する)と考えられていたのです。実は、それは、昔も今も同じであり、現代においても、ひと度病にかかってしまうと、健康状態を取り戻すことが難しい場合が少なくありません。そして、寿命と健康寿命の乖離、少子高齢化、医療費の急増などの諸問題により、現代社会においても、健康の 維持・増進と疾病予防が極めて重要な課題となっており、疾病治療よりも、むしろ重要な位置付けとなっているのではないでしょうか。

このような実情とは裏腹に、現代の鍼灸の臨床現場で治未病を実現することは容易なことではありません。健康の維持・増進と疾病予防を目的として鍼灸治療 院を利用しましょうと言っても、現実として、患者さんは治療院に通ってはくださいません。一方、美容鍼灸では、お客様がその効果を認めてくださった場合に は、鍼灸を長期間にわたって定期的に利用し続けてくださる場合が少なくありません。そして、お客様との間に、定期的、継続的な関係を築くことができれば、 上記のように、お客様の健康の維持・増進と疾病予防、すなわち、治未病を目的とした鍼灸を実践することができます。例えば、美容鍼灸のお客様が肩こりや眼精疲労などの症状をお持ちの場合には、美容の施術と並行してそれら治療を行うことができます。このように、美容鍼灸を積極的に実践することで、私たち鍼灸師 は、お客様の健康と美容に関する幅広い需要に応えることができるばかりでなく、現代社会において、お客様の「かかりつけセラピスト」として、現実的な形で治未病を実践させていただくことができるのです。

Chapter 14 健康美容鍼灸の定義と特徴

健康美容鍼灸の大きな特徴は、美容目的の鍼灸を積極的に実践することであり、同時に、美容に終止することなく、美容という来院目的を通じて、お客様方の健康の維持、増進をはかり、疾病予防に寄与し、若々しく元気な心と体を保持することです。一般社団法人健康美容鍼灸協会では、健康美容鍼灸を次のように定義しています。

健康美容鍼灸の定義

健康の維持・増進、適応疾患の治療、健康に基づく自然美の獲得を目的とした美容の施術を、利用者の需要に応じて臨機応変かつ総合的に行う鍼灸。鍼灸の施術を通じて現代社会における養生と治未病を実現する。

健康美容鍼灸の特徴

美容を目的とした施術を積極的に行い、健康に基づく人間の自然美を追求する 美容という来院目的を通じて利用者の健康の維持、増進に寄与し、現代社会における養生と治未病を実現する 適応疾患、特に現代病の治療に対して積極的に取り組む
鍼灸師は、本来、東洋医学を専門とする治療家であり、「治未病」という思想は東洋医学の真髄です。したがいまして、一義的な利用目的が美容であった場合に も、鍼灸の施術を通じて、現代社会において「養生」や「治未病」を実践し、お客様方の病気を防ぐことが、治療家としての私たちの使命です。「ストレス社 会」「長寿社会」と呼ばれる現代社会において、このように実践的で実用的な鍼灸は、ますます求められていくでしょう。そして、さらには、世界各地で大きな 問題となっている「医療費の増大」「寿命と健康寿命の乖離」という問題に対する強力な処方箋にもなるのではないでしょうか。

Chapter 15 Japanese Beauty Shinkyu(日本式美容鍼灸について)

・ Japanse Beauty Shinkyu と美容医療

Japanese Beauty Shinkyu の養顔鍼法の大きな特徴は、お顔に100本〜200本もの多数の針を使用することです。現代医学の美容医療の分野では、お顔の皮膚のエイジングケアを目的とした施術として、ダーマローラーと呼ばれるローラーを使ったマイクロニードリング(Microneedling)という施術が行われています。ダーマローラーとは、長さ1mm 程度のテンレス製の微細な針が無数に付いたローラーで、皮膚の表面に直接転がすことで、皮膚に微小な刺傷を作ることを目的として使用されます。

皮膚の柔軟性、弾力性、保湿性を維持するコラーゲンは、年齢とともに減少し、コラーゲンの減少は、しわやたるみの原因となります。一方、血液中の血小板には、毛細血管の新生、コラーゲンの生成、細胞の成長促進や再生などの作用を持つ様々な成長因子が含まれています。そのため、ダーマローラーで皮膚に多数の刺傷を作ることで、創傷治癒のために成長因子が放出され、コラーゲンを増殖させ、皮膚を若返えらせて、しわやたるみなどの症状を改善します。マイクロニードリングは、皮膚のエイジングケアを目的として、このような創傷治癒という人間の自己治癒力の機能を利用した施術であり、強い副作用もなく、安全で、比較的に長期間の効果の持続が期待できるとされています。
マイクロニードリングとダーマロラー

マイクロニードリングは、「針」を使った施術であり、針は、元来、私たちの 仕事道具です。そのため、美容外科医の友人からダーマローラーとマイクロニードリングの話を聞いた時、私は、鍼灸の施術に使う針を使って、マイクロニード リングと同様の施術を行うことはできないものかと考えました。また、ダーマローラーに使用される針の長さが1mm程度であることに比べて、私たちが使用している針は10〜15mmであり、皮膚に対して斜めや横方向にも刺すことができるため、ダーマローラーを使用したマイクロニードリングよりも合理的な施術も実現できるであろうと考えました。こうして、私は、美容外科医の先生方に色々なことをご教授いただきながら、試行錯誤を繰り返して、養顔鍼法Japanese Beauty Shinkyu を創案しました。

・ Japanese Beauty Shinkyu の独自の技術と利点

Japanese Beauty Shinkyu で、お顔に多数の針が用いられるのは、上記のようなマイクロニードリングの理論に基づいていることが理由です。一方、鍼灸師を養成する専門学校で使われている解剖学や生理学の教科書には、上記のような血液中の成長因子に関することは書かれていませんし、一般的な鍼灸師は、このような現代医学の美容医療に関する知識が不足している傾向があります。一方、Japanese Beauty Shinkyu は、上記のように、美容外科医の協力や指導を得ながら、美容医療の理論と技術を応用して創案された手法であるため、模倣者を除いては、他の美容鍼灸とは理論も技術も全く異なる独自の手法です。また、この手法を実現するためには、できるだけ短時間に、できるだけ数多くの針を刺すことが求められるため、私は、二指推鍼法という独自の刺針法(針を刺す方法)も創案しました。日本では、顔や体に針を刺す方法として、従来は鍼管と呼ばれる管を使う管鍼法と呼ばれる方法が標準的に用いられてきました。しかし、管鍼法には、針を刺すのに時間がかかる、針を斜めや横方向に刺し にくい、などのデメリットもあります。また、管鍼法が考案されたのは江戸時代のことですが、品質と機能性が大幅に向上した現代の針を使用する場合には、 鍼管は必ずしも必要ありません。そのため、鍼管を使わず、二指推鍼法を用いて長さの短い針を数多く刺すことが、HHBS方式美容鍼灸の特徴のひとつで す。二指推鍼法の大きな利点は、速いスピードで針を刺すことができ、斜めや横方向にも合理的で円滑に針を刺すことができるため、施術時間が短く、針を刺す時の痛みが少ないことです。

一般社団法 人健康美容鍼灸協会では、お客様方に、安全で安心して美容鍼灸の施術をお受けいただけますよう、会員の鍼灸師に対して、使い捨ての針を使用することを義務付けており、品質と機能性に優れ、使用時に痛みの少ない日本製もしくは日本のメーカーの設計による針を使用することを義務付けています。また、月に1度程度の頻度で実技セミナーを開講し、常に技術力の向上に努めています。美容鍼灸にご関心をお持ちのお客様におかれましては、是非、安全で安心、高い効果と実績を持つJapanese Beauty Shinkyu をお受けいただくことをお薦め致します。

Japanese Beauty Shinkyu(日本式美容鍼灸)

・ 二指推鍼法 

日本では、顔や体に針を打つ方法として、「鍼管」と呼ばれる管を使う管鍼法と呼ばれる方法が標準的に用いられてきました。これに対して、北川毅は、品質と機 能性が大幅に向上した現代の日本製の針には、鍼管は必ずしも必要ないという見解から、従来の常識を覆した「二指推鍼法」という鍼管を使わない刺針の技法を 創案し、北川流鍼灸術を確立しました。

・ 養顔鍼法

創傷治癒(傷を治す自己治癒力)のメカニズムや血液中に含まれる成長因子の作用を利用することを目的として、顔面部に対して100本〜200本もの数多くの 針を用いる養顔鍼法という美顔鍼の手法を創案しました。この手法は各地で模倣されるようになりましたが、いずれも、北川毅の創案による二指推鍼法と養顔鍼 法が源流であり元祖です。現在、北川は、この日本発の独自の美容鍼灸の手法を"Japanese Beauty Shinkyu" と名付け、国内外において、技術指導と普及活動を行っています。 

・ 世界の Japanese Beauty Shinkyu

Japanese Beauty Shinkyu は、現在、ヨーロッパ、北米、中南米、アジアなどの20カ国を超える国で実践されており、日本国内のみならず、世界において、美容鍼灸の最も標準的な手法となりつつあります。

二指推鍼法
北川流鍼灸術
Japanese Beauty Shinkyu
Japanese Beauty Shinkyu

一般社団法人健康美容鍼灸協会

東京都港区東麻布3-8-10-301
kenbikai@nexsite.net